ハライチ岩井著「僕の人生には事件が起きない」を読みました。岩井さんの初めての出版本だそうですがとても読みやすい文章で面白くて、いやエッセイストかよって思いました。
ハライチの”じゃない方”担当の岩井さんですが、岩井さんの些細ながらも皮肉的な面白さが凝縮されていると感じます。岩井さんの面白さが一般に受け入れられるとは思いませんが笑、岩井入門にはうってつけの本だと思います。
この記事のタイトルの通り、この本はターンリスナー(※)にはおすすめしません。本の内容を楽しみにしているのならなおさらです。(※深夜ラジオ「ハライチのターン」のリスナーのこと。)
この本に載っている話はほとんどラジオでされているからです。私も9割ほどの話をラジオで聞いた覚えがあります。
例としてセクションのタイトルを数個引用してみましょう。
・家の庭を”死の庭”にしてしまうところだった
・「ショッピングモール満喫ツアー」の暗闇に潜む化け物
・忘れる、という能力者
・あんかけラーメンの汁を持ち歩くと
・VIPも楽ではない
etc….
どうでしょう。ターンリスナーならば聞いたことがあるばかりか内容もオチも完璧に覚えているのではないでしょうか。
間違いなく岩井さんの話は面白いと思います。しかし内容もオチも知っている話を文字で読むと、ラジオで実際に岩井さんが喋っているのに比べてどうしても見劣りしてしまいます。この点においてターンリスナーにはこの本はおすすめできません。
読書中、それぞれの話のさわりを読んだだけで話の全容とオチを思い出していました。ラジオで数回聞いただけでそれほど私の記憶に印象付けられていたということです。改めて岩井さんのエピソードトークとストーリーテリングのうまさ面白さに気付かされました。この本を買って読む時間があれば今すぐラジコをダウンロードしてハライチのターンを聞いて欲しいです。
岩井さんのエピソードはとても平凡です。事件といえるエピソードは全くと言っていいほどないでしょう。しかし彼自身の豊かな感性を通して日常的な出来事を見てみると、事件など起きなくとも面白くなるものです。 この感性を身に付けることが面白い毎日を過ごす秘訣なのではないでしょうか。
僕の人生にも皆さんの人生にも、テレビで見る芸能の人生にもどうせそんなに事件は起きていない。それを皆、化学調味料で嘘のように濃い味付けにして提供してくるのだ。そんなものばかり食べていると、そのうち舌が馬鹿になる。物の味なんてわからなくなってしまう。(引用を元tに編集)
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